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「進路室に太陽」
朝の進路室は、少しだけ静かだった。
コーヒーの湯気がゆっくり上がり、
誰もがそれぞれ仕事の準備をしている。
そんな毎朝
でも——
廊下から足音がして、
ドアが開く。
「おはようございます!」
小野先生の声が聞こえた瞬間、
進路室の空気は一気に変わる。
まるで太陽が差し込んだみたいに
部屋が明るくなる。
お仕事中も
誰かが冗談を言う。
すぐに誰かがツッコむ。
おかしくて笑う
気がつけば、
夫婦漫才みたいなやりとりが始まっている。
「それ違うでしょ!」
「いやいや、こうだって!」
笑い声が広がる。
そして時々、先生がふっと
キョトンとするようなことを言う。
「え?今それ言うんですか?」
その一言で、
またみんなが笑う。
忙しいはずの進路室なのに、
この部屋には
なぜかいつも温かい空気が流れていた。
生徒の進路を一緒に考え、
悩み、
ときには胸が詰まるような日もある。
でもその中で、
誰かが笑わせてくれる。
だからまた、
前を向くことができた。
そんな日々の中で、
ある日突然、小野先生が
「今日、ラーメン部会いく?」
それは特別な日だけの、小さな行事。
何かを祝うわけでもなく、
大きな理由があるわけでもない。
突然
ただ、お昼に
みんなでラーメンを食べに行く。
それだけ。
それだけなのに、
なぜかすごく嬉しくて楽しい。
車に乗り合わせて、
お店に向かう道。
「今日は味噌かな」
「いや醤油でしょ」
そんな会話をしているうちに、
もう車の中は、笑い声でいっぱいになる。
ラーメンが運ばれてきて、
湯気の向こうでみんなが箸を持つ。
「美味しいね。」
その一言だけで、
また笑顔になる。
ただ一緒にラーメンを食べているだけなのに、
その時間は
なぜか特別だった。
きっとそれは
ラーメンが特別だったからじゃない。
一緒に過ごす時間が、
特別だったから。
進路室では、
たくさんの生徒たちが悩み、
そして未来へ向かって歩き出していった。
その背中を、
小野先生はいつも見送っていた。
「大丈夫。きっと道はあるよ。」
その言葉に救われた人が、
きっとたくさんいる。
そして今——
進路室から、
小野先生が新しい道へ進む。
机も椅子も、
何も変わらないはずなのに、
少しだけ静かに感じる朝が来るかもしれない。
でもきっと思う。
ドアが開いて
「おはよう」と声が
響いたあの朝を。
進路室に毎日の太陽ほ
あの瞬間を。
そしてもしまた、
どこかで会えたら——
きっと誰かが言う。
「先生、覚えてます?」
ただお昼にラーメンを食べに行く、
それだけの会。
それでも私たちにとっては
楽しくて
美味しくて
最高の進路室の行事でした。
先生、ありがとうございました!